「みみずくは黄昏に飛びたつ」を読みました。
最近時間を見つけてちょこちょこ本を読むようになりました。
「みみずくは黄昏に飛びたつ」とは
この本は芥川賞受賞作家川上未映子さんが村上春樹さんにインタビューしたものを収録した本です。
2017年4月に単行本(ソフトカバー)で発売された文庫版(2019年11月発売)を読みました。
アマゾンの本の紹介によれば単行本は11時間、文庫版は13時間のインタビューとなっています。文庫版は最後に付録として「文庫版のための対談」があるのでその分の時間が加算されているのだと思います。
というわけで、今買うなら文庫版の方がお得だと思います。
感想
川上さんグイグイ聞き込んでます。一読者としての視点からの質問が多かったように思います。
「これ聞いてほしかった」的な質問を遠慮なく聞いている感じがしてよかったです。
僕は村上さんの長編小説はもとより、短編やエッセー、インタビュー集などもせっせとチェックしている、そこそこコアな「村上主義者」だと思っていて、村上さんの自伝的エッセイ「職業としての小説家」を読んだときは「ほとんど知っている内容やんけ」と思ったのですが、このインタビューは初めて知ることが多く、大変満足いたしました。
特徴
1ページのうち村上さんの相づちの「なるほど」以外全部川上さんの言葉、というページがあったりして、このインタビュー集の特徴としてインタビュアーの質問(とか感想とか)が長い、という点があります。
そういう点からすると「対談」に近いインタビューという感じがしました。
さいごに
小説「騎士団長殺し」で出てくる重要な言葉の本来的な意味を村上さんは知らなかったとか、なかなか衝撃的な事実が語られているわけですが、個人的には「中学生の時女の子に手を引かれた思い出」が一番のハイライトでした。
このエピソードを読んで、村上小説の「何かに導かれる」感はここら辺の体験が源泉なのではないか、と勝手に腑に落ちています。
それと、この本を読んでインタビュアーの川上さんにも興味を持ちました。川上さんについては「芥川賞受賞作家」以上のことは分からなかったのですが、このインタビュー集を読んで、村上さんに対して敬意を払いつつも、はっきり言うべきところは言っているような気がして、好感を持ちました。
なんと偶然にも?書棚に何年か前に買った「乳と卵」があったので(買ったことすら忘れていた)、読んでみようと思います。
インタビューの最初の方は「村上さん」といっていたのに、最後の対談では「春樹さん」なんて呼んでいて、二人の関係はだんだん親密になってきているようです( *´艸`)